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健康

タバコをやめよう

この記事では、救急系・外科系の医師として20年以上

患者様と御家族にタバコをやめさせ続けてきた私が

簡単なタバコの止めかた

を解説します。

病気になる人は、タバコを吸っている人が多く、

本人も家族も ”タバコやめたい、やめさせたい”

と思っている方が多くいます。

しかし、ニコチン依存症は、いったん完成されると

なかなか離脱することができません。

依存症にはいろいろありますが、

芸能人・有名人でも禁煙に苦労した方が散見されます。

社会的に成功するには、非常に強い意志が必要なはずですが。

禁煙できないのは、意志が弱いからではありません。

ニコチンの依存性があまりに強いからです。

禁煙のため、自費でニコチンガム・ニコチンパッチを

購入するのも手ですが、一万円くらいかかります。

禁煙外来は保険適応ですが、条件があり、

 ①ただちに禁煙しようと考えている

 ②一日の喫煙本数×喫煙年数 が200以上

   (例 :一日20本で10年)

 ③簡易テストで5点以上 (以下で5項目以上”はい”がある)

自分が吸うつもりよりも、ずっと多くたばこを吸ってしまうことがありましたか? はい いいえ
禁煙や本数を減らそうと試みて出来なかったことがありましたか? はい いいえ
禁煙したり本数を減らそうとしたときに、
たばこが欲しくて欲しくてたまらなくなることがありましたか?
 はい いいえ
禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれかがありましたか?
(イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、憂鬱、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
 はい いいえ
上の症状を消すために、またたばこを吸い始めることがありましたか? はい いいえ
重い病気にかかって、たばこがよくないとわかっているのに吸うことがありましたか? はい いいえ
たばこのために健康問題が起きていることがわかっていても吸うことがありましたか? はい いいえ
自分はたばこに依存していると感じることがありましたか? はい いいえ
たばこが吸えないような仕事や付き合いを避けることが何度かありましたか?

④文章による同意

が必要となり、あてはまらない方が断念したり

ハードルが高いと感じて諦める方も多くいます。

お金をかけず、簡単な方法で禁煙を成功させたいのが

自然な気持ちかと思います。

今回ご紹介するのは、禁煙の簡単な始め方、

成功率を上げる方法です。

禁煙の方法は色々ありますが、

 ①ストレスの少ない時期に禁煙する

 ②切りのいい日付、記念日等に始める

 ③タバコ以外の事で気をそらす(ガムを噛む、酢昆布を齧る)

 ④喫煙道具は捨てる

 ⑤タバコを勧めてくる友人、会合を避ける

 ⑥タバコ以外に、自分へのご褒美か趣味を持つ

 ⑦タバコがなぜ悪いか、理屈で納得する

 ⑧海外の禁煙啓発ポスターを見る

 ⑨禁煙は何度失敗してもチャレンジする

 ➉禁煙後2~3週間が苦しく、吸いたい衝動は

 5年くらい襲ってくると覚えておく

といった方法があります。

では、一つづつ解説していきましょう。

  ①ストレスの少ない時期に禁煙する

仕事が忙しい時期、介護・育児・引っ越し・子供の受験など

強いストレスのかかっている時期の禁煙は避けましょう。

禁煙そのものが非常に強いストレスなため、

複数のストレスがかかっている時は失敗しやすいです。

あえて暇な時期を見計らって禁煙チャレンジしましょう。

  ②切りのいい日付、記念日等に始める

これは日本人の喫煙者にはなじみ深いものと思います。

なぜなら、毎年、一月のタバコの売り上げが激減するからです。

元旦に禁煙を開始する人が多いのでしょう。他に

4月1日、自分や子供・孫の誕生日なども良いきっかけです。

  ③タバコ以外の事で気をそらす(ガムを噛む、酢昆布を齧る)

くちが寂しいのでタバコをすってしまう。

手で何かいじって、火をつけて、口にくわえる。

これを何十万回と繰り返してきました。

禁煙を成功させるために、ガムを噛む(できればキシリトール)

干物をかじる(塩分やカロリーに注意)、

酢昆布(ワーファリン内服中は×)、

氷をなめる、深呼吸する、近所を散歩してくる

などの方法で気をそらし、吸いたい衝動を逃がし、

ニコチン禁断症状を回避してください。

  ④喫煙道具は捨てる

タバコ・ライター・灰皿を取っておくと失敗します。

これらを冷蔵庫の上に置いておくのはやめましょう。

ジッポも、思い出の灰皿も、残っているタバコも

勿体ないですが、捨てましょう。

捨てた方が成功率が上がります。

  ⑤タバコを勧めてくる友人、会合を避ける

飲み会に出かけると、タバコの煙が充満。

禁煙中と言うと、嬉しそうに”ホレホレ吸えよ”と勧めてくる知人。

ヒトはなぜか、自分の沼に引きずり込もうとします。

”知人に勧められて、5年ぶりに喫煙再開してしまった”

という例が多々見受けられます。

ヒトはなかなか誘惑には勝てないもの。

そういう会合は遠ざけましょう

  ⑥タバコ以外に、自分へのご褒美か趣味を持つ 

タバコをやめることは非常に強いストレスがかかります。

とくに最初の3週間。

お金がかからない、健康に悪くない程度で、

自分にご褒美を与えてください。

好きだった趣味・気分転換で、しばらく遠ざかっているものは

ありませんか?

注意すべきは、”本当にやりたい事、好きな事”をすることです

”見栄えがいいから、かっこいいから、知的にみえるから”

などという理由では、気が付かない程度のストレスがかかります

  ⑦タバコがなぜ悪いか、理屈で納得する

タバコによる健康被害は説明不要でしょう。

話は110年以上前にさかのぼりますが、

タバコ販売は、日露戦争の資金を得るためでもあった。

戦争は金がかかります。

そのために増税すると、大反対されます。

でも、ニコチン依存症の人は、喜んで金を払います。

この仕組みを利用されているだけです。

1966年、男性喫煙率は83.7%

2018年には27.8%まで下がりました。

”タバコを吸わない奴は軟弱だ”

という雰囲気だったのが、50年かけて、

ここまで変わったのです。

作成者: tensai

救急・外科系で20年以上、臨床に携わりました。
国公立の2次救急医療機関ひとすじです。